2009年06月01日

国際病院船による医療協力 ―C.Wニコルさんの提案を実現したいー

2月2日、環境問題に取り組んでいるC.Wニコルさんと国際病院船による開発途上諸国への医療サービスの提供について懇談しました。前月の大手新聞に掲載されたニコルさんのインタビュー記事「日本は国際病院船を出せ」記事を見て、大変素晴らしいと思い、二コルさんから詳細を伺い、実現に向けて動くために、直ぐにニコルさんに連絡し、日本の国際協力を強化する観点から二時間余にわたって話し合いました。現在、財団法人C.Wニコル・アファンの森財団理事長として、長野県飯綱山の山麓にある荒れた森の再生活動に精力的に取り組んでいるニコルさんは、「病院船による開発途上諸国への支援は目に見える効果がある。しかも、紛争時と平和時の両方に使える」とその意義を説明してくださいました。「日本が病院船で国際協力をする姿を見るのが昔からの夢でした」と熱く語ってくれました。 ニコルさんは、病院船を使っての医療協力は新しいことではなく、日本がそうした効果のある協力を実施していないだけだと説明されました。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、病院船とは、戦争や飢餓、大災害の現場で、傷病者に医療ケアのプライマリケアを提供したり、病院の役割を果たすために使われる船舶です。

日本学術会議も病院船の使用を勧告2005年、我が国の人文・社会科学、自然科学の全分野の約83万人の科学者を内外に代表する日本学術会議(1949年1月、内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立)は、海外で大きな災害が発生した場合、国内の災害時等に使用する病院船をその地域へ派遣し、医療活動を行うことを勧告しています。通常時には定期的に過疎地域や島嶼に回航し、住民の検診や治療を行い、国内の大災害発生時には緊急総合病院と活躍できる病院船を「海外災害地域へ派遣し、国際平和に貢献するための活動も行う」ことを提案しているのです。日本学術会議の勧告書によると、陸上の交通網、通信連絡網、医療施設などの破壊された災害地での医療活動に最も頼りになるのが病院船です。20041226日にインドネシア西部、スマトラ島北西沖のインド洋で発生したマグニチュード 9.3 のスマトラ島沖地震などの被災地での困難な医療活動を思い起こしながら、二コルさんは、日本が海外での緊急医療活動に病院船を使用することを強く願い、「日本は、地震や台風などの自然災害が多い国です。その経験を活かしたソフトやハードの技術は世界一だと思います。現在、地震は活動期に入り、温暖化による気候変動もますます深刻になって来ています。病院船は、海外のみならず、いざという時に日本国民のためにもなるのです。また、国際紛争は宗教の対立が大きな原因となっています。そういう意味でも日本は受け入れやすい。平和憲法も大きな信頼となっているでしょう。まさしく、病院船は日本にとってもっとも相応しい国際貢献だといえるのです」と力説されていました。早大理工学部名誉教授で日本学術会議「大都市をめぐる課題特別委員会」委員長の尾島俊雄氏は、国内では小回りが利き、外用にも出られるベッド数が数百床の5000−6000トン級の病院船を2−3隻、早急に建造・運営することを訴えられています。建造費用は、医療機器など十分な装備も備えて一隻あたり数百億円と見積もられています。この金額は高すぎて負担できないものではないと考えます。例えば、後継南極観測船の建造費は約400億円です。ボーイング787―9は一機が約220億円です。アメリカは数多くの病院船を持っています。参議院議員喜納昌吉氏は、米国の海軍病院鑑一隻が2007年6-10月にかけて十数カ国の中南米諸国を訪問して、多くの貧しい患者に医療手当(外科手術を含む)を施したことを念頭に置いて、同年10月、福田康夫(当時の)総理大臣宛に送った質問主意書で「病院船を北方領土のほか、東南アジア、オセアニア、アフリカなどの開発途上諸国に派遣して、平和外交、医療外交を展開する可能性はないか」と質問しました。残念なことに福田総理の回答は「ノー」でした。「開発途上諸国の国民に医療を直接施す医師団の派遣を行う考えはない」とあっさりと拒否されました。開発途上国に対する医師の派遣は、医療分野における技術移転等を目的としたものに限定して行っていく考えを示されました。

民間(NGO)が保有・運営する病院船ニコルさんは、政府が国際医療協力に従事できる病院船を作れないならば、「民間(NGO)が保有・運営する病院船がデビュー出来るようにしたらどうだろうか?」とおっしゃっていました。資金調達の方法として、協賛金のみならず、船体を広告媒体として使うことも考えていらっしゃいます。大きな船体等に企業名やロゴマークをペイントするのです。保有・運営の経費は徹底して切り詰めることになります。また、新規に建造すれば高いので、タンカーやフェリーを改造したものを考えていらっしゃるようです。商業船舶を対象とした税金や港湾経費等は、病院船の仕事の中身から考えて、政府に免除して貰うことを検討されています。2008年版「政府開発援助(ODA)白書」によると、2007年の日本のODA実績は前年比31%減の約76億7895万ドル(約6912億円)で、経済協力開発機構(OECD)加盟国中第5位でありました。日本の巨額の財政赤字を考えると、大きな方針転換がない限り、日本のODA供与の絶対額の大幅な増加は見込めません。このような状況を鑑みると、これまで以上に日本のODAの質を上げることに力を入れる必要があると考えます。質をあげるということは、受領国にとってこれまで以上に感謝される喜ばれる中身にすることです。顔の見える援助にすることも一層重要になります。そうした観点でみると国際病院船での医療協力は有効な方法の一つと思えます。今後、二コルさんと公設民営による国際病院船の可能性等についても情報交換をしながら、更にはODAの改善に向けて取り組んでいる同僚国会議員と国際病院船の実現化に向けて努力を続けて参ります。
posted by 木俣佳丈 at 19:08| 東京 曇り| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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