2009年06月01日

1兆2000億円の効果は? ―京都議定書目標達成計画による温室効果ガス削減量が把握されていないー

2月18日(水)、参議院国際・地球温暖化問題に関する調査会で、政府の京都議定書目標達成計画の温室効果ガス削減効果について質問しました。質問のポイントは、政府が年間1兆円以上投入している京都議定書目標達成計画により、どれだけの温室効果ガスが削減されているのか、費用対効果はどのようになっているかを明確にすることでした。新聞や雑誌等で度々報じられているように、地球温暖化は進んでいます。過去100年間で世界の平均気温が0.74度上昇しました。しかも、最近50年間の気温上昇傾向は、過去100年間のほぼ2倍です。この温暖化の大きな原因が大気中の二酸化炭素の増大です。現在の人為的排出量(年間72億炭素トン)は自然吸収量(年間31億炭素トン)の約2倍以上にも達しています。京都議定書では、先進国の温室効果ガス排出量について、法的拘束力のある数値目標が各国ごとに設定されました。我が国は、2008年から2012年までの約束期間に、削減基準年である1990年の排出量から6%の削減を約束しています。 その約束を実行するために毎年莫大な資金を使って温室効果ガスを削減することを目的とした「京都議定書目標達成計画」を実施しています。2008年度の場合、その予算総額は、1兆2166億円です。2008年度京都議定書目標達成計画」は、温室効果ガス削減効果により次の四つに分類されています。A)京都議定書6%削減約束に直接効果のあるもの:5,194億円(42.7%)B)温室効果ガスの削減に中長期に効果があるもの:3,095億円(25・4%)C)その他結果として温室効果ガスの削減に資するもの:3,430億円(28・2%)D)基盤的施作などの4つの分野:447億円(3・7%)合計:1兆2166億円(100%)

実際の排出削減量が把握されていない
しかし、不思議なことに京都議定書目標達成計画による温室効果ガスの削減が実際にどのくらいであるかが把握されていません。地球温暖化対策推進本部幹事会が発行した「京都議定書目標達成計画の進捗状況―平成20年12月25日」を読んでも、京都議定書目標達成計画により温室効果ガスが実際にどれだけ削減されているかが明らかになっていないのです。簡単に言えば、どれだけ温室効果ガスが削減できたかが不明ということです。これは大きな問題です。京都議定書目標達成計画の各対策・施策の効果について「京都議定書目標達成計画の進捗状況」は次のように説明しています。2000年度から2007年度までの実績の把握を行うとともに、データ入手が可能な限り2008年度から2012年度までの各年度の見込みを把握し、これらの見込みに照らした実績のトレンド等を評価したところ、「大半の対策について実績のトレンドが概ね見込みどおりであった。」つまり、計画は全般的に順調に成果を出していると理解できます。しかも、同報告書に記載されている政府が講じた具体的な対策毎に削減した実績の温室効果ガス排出量が記載されています。この実績の温室効果ガス排出削減量は、2005年は1億5495万6000トン、2006年は1億6806万2600トン、2007年は7168万1600トンです。ところが、環境省に確認を求めたところ、上記の数字は、実際に削減された排出総量にはならないと言います。環境省によると、ある対策で削減された温室効果ガスの排出量は他の対策による削減される排出量と重なるところがあるので、各対策による削減量の合計は、実際に削減された排出量よりも少なくなるとのことです。しかも、どれだけ小さくなっているかが把握できないということです。一言で言えば、京都議定書目標達成計画全体でどれだけの温室効果ガスが削減されたのかは把握できないと釈明しています。もう一つ意外なことに気付きました。京都議定書目標達成計画が順調に推進されていると評価されているにも関わらず、我が国の温室効果ガス総排出量が増加しているという現実です。2007年度の場合、速報値で、約13億7,100万トンです。これは基準年度比で8.7%の増加です。つまり、温室効果ガス削減の様々な施策により排出量が削減されています(その実績値が把握されていないことはさておき)が、その削減量が大きくないのか、もしくは、削減量以上に排出量が増大する事態が発生していると考えられます。実態はどうなのか、関係省庁から明確な説明を貰っていません。参議院国際・地球温暖化問題に関する調査会で私が京都議定書目標達成計画の費用対効果についての質問をしても、関係省庁の政府参考人は、意味不明瞭な答弁しかされていません。例えば、農林水産大臣官房技術総括審議官吉田岳志氏は「費用対効果でございますが、いろんな見方があろうと思います。それぞれの事業によって何をその効果として見るかということでございます。当然これは京都議定書目標達成計画に入っておりますから、CO(温室効果ガス)の削減というものも一つの指標ですし、あとは地域の森林経営だとかそういったものに対する効能といったものも見なきゃいけないと思います・・・」と回答されました。費用対効果、つまりどれだけの費用をかけてどれだけの温室効果ガスの削減を出来たのかという私の単純な質問に明確に回答出来ないのです。国際・地球温暖化問題に関する調査会長の石井一氏は、質疑を聴き終えた後に、京都議定書目標達成計画によりどれだけの温室効果ガス排出量が実際に削減され、その費用効果を調べることは、確かに意味のある問題提起だとの認識を示されました。その上で、今後は「決算委員会とかあるいは環境委員会でしっかりと」議論すべきだと調査会長として提案されました。有り難いことです。石井会長の温かい提案を励ましにして、政府の温室効果ガス削減施策の費用対効果をきちんと見極めていきます。そうした作業を進めて行く上で、わたしのメールニュースを読んでくださっている皆様から具体的なアドバイスを頂ければ大変嬉しく思います。宜しくお願い申し上げます。
posted by 木俣佳丈 at 19:11| 東京 曇り| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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