2009年06月01日
ODAを巡る汚職の根絶のために ―ODA供与の凍結・解除など重大な政策の決定・変更において積極的に 取り組んで行きますー
2月26日(木)、緊急に開催された参議院政府開発援助等に関する特別委員会(ODA委員会)理事会で、政府開発援助(ODA)において不祥事が発生した場合の事実究明、それに伴なう当該国等へのODA供与の凍結・解除など重大な政策の決定・変更においては政府と一体になって積極的に取り組んで行くことを申し合わせました。この申し合わせは、平成20年8月に発覚したベトナム向け円借款事業に関する贈収賄事件(PCI事件)が日本国民のODAへの信頼を揺るがしていることを懸念して、同種の汚職事件の再発防止のために、更にはODAの供与が国民の理解を得て行われるものであることを徹底するために、私を含む与野党の理事が議論を重ねた結果、理事全員で採択されたものです。ODA委員会理事会の申し合わせの全文は次の通りです。「今回のPCI事件に類するODA不祥事が発生した場合、また、これに伴いODAの凍結・解除など重大なODA政策の決定・変更が行われる場合には、政府から速やかに当委員会に対し報告を求めるとともに、委員会を開催し審議を行うこととしたい。」PCI事件とは、ベトナム向け円借款事業「ホーチミン市東西大通り・水環境改善プロジェクト」のコンサルタント業務を受注するために、パシフィックコンサルタンツインターナショナル(PCI)社幹部がベトナム政府高官に賄賂を渡したとされる事件です。平成20年8月4日、東京地検特捜部は、PCIがそのコンサルタント業務の受注後に謝礼を渡したとし、不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄禁止)の嫌疑で多賀PCI元社長、高須PCI元常務、坂下PCI元道路技術部長、坂野PCI元ハノイ事務所長を逮捕しています。私は、昨年8月に発覚したベトナム向け円借款事業の関連で起きたPCI事件のその後の経緯を調べる中で、ODA委員会が日本政府のODAの供与方針等に積極的に関与していかなければ同種の汚職により日本国民の理解・支持が得られなくなり、最終的には我が国の国益を揺るがすものになると危惧しました。どうしたら国民の理解を得られるODAに出きるか、どうしたら政府の独断的な政策決定にストップをかけることが出きるか、その答えを求めて与野党の理事の先生と幾度となく突っ込んだ議論をしました。そうした中で、外務省が2月23日(月)にベトナム向けODAの凍結を解除する動きを知り、憤慨した私は、緊急理事会の開催を要望しました。2月26日に開催された理事会で、私は、政府の不適切な対応を具体的に指摘して、政府がODA委員会に積極的に迅速に、かつ正確な情報を提供することを義務付、更にODA委員会の了承を得てからODA政策の決定を行うように強く抗議しました。PCI事件の全容が不明の中、かつ再発防止策が十分か否かについてODA委員会で一切の審議がされていないにも関わらず、外務大臣がベトナム向け円借款の再開を発表するのは時期尚早です。汚職事件は現在の援助方式からくる構造的な問題である可能性も述べ、国別援助計画の方針等も見直し、審査していくべきだと発言しました。 PCI事件の簡単な経緯外務省は、以下に述べる経緯の中で明らかなように、ODA委員会に何ら説明もないまま、PCI事件の発覚後に凍結していたODAを再開させる動きをしてきました。@ 本年2月3日、外務省は、与党自民党の部会においてベトナム向け円借款を再開する旨の報告をしています。(備考 本年1月29日、贈賄禁止の嫌疑で昨年逮捕された三人の日本人に有罪判決が言い渡されています。その判決のわずか数日後です。)A2月9日、民間人の日越特別大使が、ズン・ベトナム首相と会談した際に「4月にODA再開見込み」と発言したと現地の新聞が報道。B2月11日、ベトナム当局は職権乱用の疑いで、収賄側の南部ホーチミン市担当局長フィン・ゴック・シー担当局長(停職中)ら二人を逮捕。そして、2月23日、中曽根外相は、ズン首相特使として来日したヴオー・ホン・フック ベトナム計画投資大臣との会談において、凍結していたODA再開を発表しました。ODA委員会のベトナム向け援助凍結解除が時期尚早であるとの指摘について、中曽根外務大臣はフック・ベトナム計画投資大臣に次のように説明されています。「貴国への新規円借款の再開については、国内でもいろいろと議論があった。特に国会でも、再会はまだ早いのではないかという強い意見が自分のところにも寄せられている。」私どもODA委員会のメッセージが外交の現場に反映されたのです。平成18年1月20日に設置されたODA特別委員会は、国民の視点に立ちながら、効果的、効率的な援助が行われるよう評価も含めた調査を進め、ODAと国益や外交戦略との関係、戦略的な援助とODA実施体制の見直し、ODAの透明性の向上などの諸課題について調査を行い、ODAの改善に大いに寄与してきました。ODAは我が国外交の基盤であり、外交の手段でもあります。我が国にとってODAは重要な財産です。しかし、財政状況が厳しい中でODAが着実に実施されるためには、国民の理解と支持が必要です。このODA特別委員会は、衆議院にはない参議院独自の委員会であり、30人の委員により構成されています。政府開発援助を巡る汚職が二度と起きないように、国民の税金を使って開発途上諸国の発展のために行う我が国の開発援助が国民の理解を得られ開発途上諸国の経済社会開発に大いに役立つように、今後も政府の援助計画の審査及び政策決定に注視して行きます。
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