3月26日(木)、第51回参議院議員木俣佳丈朝食勉強会を開催しました。講師は、駐米公使、駐サウジアラビア大使、駐タイ大使などを歴任され、現在外交評論家として幅広く活躍されている岡崎久彦氏です。岡崎久彦氏は、「現下の国際情勢と日本外交」のテーマで、50分にわたり講演されました。前半に、サブプライム問題が米国、イギリス、ドイツ、スペイン、中国、北朝鮮、インド、日本に与える影響についての分析を披露してくださいました。その後に、オバマ大統領の対日政策観について説明をして下さいました。
「オバマ政権の対日政策については心配することはない」と岡崎氏が断定されました。オバマ政権が対日配慮をしていることは「ヒラリー・クリントン国務大臣が初外交先として日本を選んで来たこと。次にオバマ大統領が麻生首相を外国首脳として最初にホワイトハウスに招いたこと」で明らかである。岡崎氏は、オバマ政権が対日関係を重視しているのは「国民あげての日本外交の勝利ですよ(笑)」と解説されました。「去年の秋から、日本の評論雑誌、政治家の発言、もう全部が、オバマになったら日米関係がどうなる、もう煩(うるさい)ぐらい、そうしたことだけについてコメントしてきた。そうした日本の声を聞いたヒラリー国務長官が日本のことを気にするようになり、言葉だけでもサービスしてあげないと日本によくないとの認識に立って、外交活動を行っていると説明されました。ヒラリー国務長官の対日配慮は、国務省の人事を見ても分かるそうです。国務省アジア局長に就任したのが、クリント政権時に国防副次官補(東アジア・太平洋担当)として日本との信頼関係が深いカーター・キャンベル氏です。「アジア局長がカート・キャンベル氏になった。これは驚いたし、すごい人事だと思った」と強調されました。
岡崎氏によると、クリント政権時のアジア関係の要職者の中の唯一の親日派・日米派がキャンベル氏だったそうです。「あらゆるアジア関係の要職は親中国派で、親日派は誰もいませんでした。キャンベル氏自身は親日とは言っていませんが、日米同盟派です。それで、クリントン政権末期は、日本は財界も政界もキャンベル詣でをしました。共和党政権のブッシュ時代は、米戦略国際問題研究所(CSIS)副所長として対日関係の維持・強化のために活動され、日本の多くの人がお世話になっていた」と解説されました。ヒラリー国務長官の対日配慮は、次期国務長官に指名されたヒラリー氏が上院外交委員会での国務長官承認のための公聴会での発言にも表れているとのことです。上院外交委員会の公聴会で、ヒラリー氏がオバマ政権は同盟国重視であるとして同盟国名前を列挙しました。その中に北大西洋条約機構加盟国、日本、オーストラリアがあったが、日本だけが「太平洋のコーナーストン(要)であるとか、民主主義の価値観を同じくする国」として説明があったことを説明してくれました。
岡崎氏は、今後の対米政策の柱として、米国が行っているアフガンでの対テロ戦争への協力を強化することがベストではないかと提案されました。「オバマ政権の外交政策の目玉はアフガニスタン重視です・・・一方、日本の大戦略は、日米同盟維持です。従って、オバマ大統領が一端、アフガニスタンに入ると決めた以上、これに対して協力するのが日本の大戦略です。日本の安全の繁栄のために。これは徹底的に付き合ってやるべきだ」と説明されました。日本の米国が行っているアフガンでの対テロ戦争への支援の柱として、パキスタンへの協力を拡大・強化することは、米国の隠れた要望に応えることになると説明されました。
「オバマ政権では、オサマビンラーデインに対して二正面作戦という考えで動き出しているようです。西側正面がアフガニスタンで東側正面がパキスタンです。そして、理由は問わず、アフガニスタンでの戦争に協力できなければ、パキスタンの安定等のための援助に協力してもらいたいという考えがオバマ政権に出てきているそうです。」と解説されました。米国が新たに打ち出したアフガニスタン・パキスタンの包括戦略の下で、パキスタンへの支援を大規模に実施で出来れば、オバマ政権に有難く思われる協力になれるということです。「パキスタンへの協力は日本にとってちっとも悪い話ではない」と付加されました。「パキスタンが1998年に原爆実験をするまでは日本はパキスタン援助のNo.1でした。しかし、原爆実験の後、米国の法律により、日本のパキスタン援助は禁止になっています。現在は、中国がNo.1です。これからはパキスタンに大いに援助して良いといいというならば結構な話です。もう一度日本がNo.1になれば良いのですよ。」4月17日に東京で開催されるパキスタン援助の国際会議で、日本がイニシャテイブを取って、米国のアフガニスタン・パキスタンの包括戦略支援の一環としてパキスタン援助を大きくまとめることが出来れば、日米同盟の強化につながるとの見解です。
岡崎氏は、海上自衛隊がインド洋で国際テロを防止する艦艇へ燃料と水を洋上補給していること、それに、東アフリカ・ソマリア沖で海賊被害に対処するために行っている護衛活動を高く評価しています。その上で、日本がインド洋全域の怪しい船を全部チエックするために対潜哨戒機P3Cを派遣する、米国が不足している対潜哨戒機を活用してアメリカ海軍を支援していくことがこれからの日米同盟に極めて有効であると、その早期実現を願っていらっしゃいました。岡崎氏のお話を伺いながら、日本経済の物流を担っているソマリア沖を含むシーレーン(一国の通商上・戦略上、重要な価値を有し、有事に際して確保すべき海上交通路)の安全・安定化が不可欠であることを改めて感じました。食糧及び石油・石炭・天然ガス等の輸入、工業製品の輸出に不可欠なシーレーンの安全確保のために日米が協力していくためには、集団自衛権の行使が必要であるとの指摘も理解できます。法制の整備等について皆様との話し合いを広げて行きたいと思っております。
岡崎久彦氏のプロフィール1930年、中国大連生まれ。1952年 東京大学法学部在学中に外交官試験合格、外務省入省。1955年 ケンブリッジ大学経済学部学士及び修士課程修了。1978年 防衛庁国際関係担当参事官。1981年 ジョージタウン大学戦略国際問題研究所客員フェロー、ランド・コーポレーション客員フェローハーバード大学客員研究員。1982年 外務省調査企画部長。1984年外務省情報調査局長 在サウディアラビア大使。1988年 在タイ大使。1992年外務省退官、(株)博報堂特別顧問。2002年 NPO法人岡崎研究所理事長・所長。2007年 「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」メンバー。
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