2009年07月28日

箱モノから人へ、若モノへ

6月29日(月)午後1時から開催された参議院決算委員会で質問に立ちました。冒頭に麻生太郎総理大臣に衆議院の解散時期は7月のイタリアでのG8サミット直後ですかと質問したところ、「9月の任期満了までの間、様々な要素を勘案して判断すると申し上げておりますので、それ以上でもそれ以下でもございません」と答弁されました。この部分がNHKの夜の9時のニュースで流れたと聞き、任期満了選挙も有り得ると思いました。 
さて、決算委員会での質問・提案は、大きく言って次の二点に絞りました。一つは、麻生総理が出席される7月8日からイタリア中部ラクイラで開かれるG8サミット(主要国首脳会議)での大きなテーマの一つである地球温暖化対策に関して、もう一つは、日本を暗くしている諸悪の根源となっているデフレ根絶に緊急の課題として取り組むように政策転換を迫りました。今回の決算委員会の質疑の様子が全国にテレビ放映されるということなので、視聴者に方に私の質問・提案のポイントを見てもらいたいと思って、5枚のパネルにまとめました。その5枚のパネルを使って質問・提案しました。
「8兆4211億円を使って、CO2を9パーセントも上昇させた」
第一に、政府のこれまでの地球温暖化対策の効果が見えないことを確認させて頂きました。199712月、気候変動枠組条約の目的を達成するため、京都で開かれた第3回締約国会議にて採択された京都議定書で、日本は温室効果ガスを6パーセント削減することを約束しています。その国際的約束に基づき、平成15(2003)年度から平成21(2009)年度にかけて総額8兆4211億円を使った温室効果ガスを削減することを目的とする地球温暖化対策が実施されています。
しかし、結果は(2007年度において)温室効果ガスが(1990年比で)9パーセントも増えているのです。
驚くのは、京都議定書で日本に課せられた温室効果ガスの6パーセント削減を達成するために巨大な予算を使って様々な対策・施策が実施されているにも関わらず、目標の成果を上げられないだけではなく、実際にどれだけの温室効果ガスが削減できたのかさえ明確に示していないのです。
斉藤鉄夫環境大臣は、5月11日の参議院決算委員会で、弘友和夫議員の京都議定書目標達成計画(京都議定書で日本に課せられた、温室効果ガスの6パーセント削減を達成するために必要な措置を計画・立案したもの)の効果について質問された際、次のように答弁されています。「・・・これ(京都議定書目標達成計画関係予算)がどれだけ効果があったのかということにつきましては、法律による規制や税制の寄与もございまして、この予算だけでどれだけの寄与があったかということについて削減量をお示しすることは困難でございます・・・」私は、斉藤鉄夫環境大臣に京都議定書目標達成計画の中の「京都議定書6パーセント削減約束に直接の効果がある」と分類されている対策・施策による排出削減量を質問したところ、「二酸化炭素排出抑制は、予算、そして省エネ法や温対法などの法律による規制、それから税制、色々な手段を使って、これを行っていかなくてはならないと、このように考えております。そういう意味で、この予算をこれだけ使ったからそれによる(二酸化炭素排出)削減量はこれですということはなかなか申し上げにくい・・・」と回答されました。
斉藤大臣の答弁ではっきりしたのは二点です。一つは、政府がおこなっている京都議定書目標達成計画の中には、「地球温暖化対策推進法の改正による温暖化対策の推進」など様々な対策・施策が含まれているにも関わらず、全体の削減量を明確にできないこと。もう一つは、予算の段階で二酸化炭素排出に削減効果があると分類した対策・施策の効果も、それにより実際に削減した排出量を数値で持って示されないことです。 
「決算の出来ない予算」
第二に、「決算ができない予算」の仕組みを改善するように要望しました。民間会社では予算があり、それがどのように使われたかを示すのが決算です。しかし、京都議定書目標達成計画関係予算においては、予算と決算の項目が合いません。以下のように対比出来ないのです。
1)     予算書での幾つかの項目名の事業が、決算書では一つの項目名の事業に統一されている。例:予算書での項目名が「住宅・建築物高効率化エネルギーシステム導入促進事業費補助金」「高効率給湯器導入促進事業費補助金」等が、決算書では「エネルギー使用合理化整備導入対策費補助金」と統一されています。
2)     予算書では一つの項目名の事業が、決算書では幾つかの項目名に分かれている。例:予算書での項目名が「森林環境保全整備事業」。決算書では「森林環境保全整備事業費補助」「退職手当」「児童手当」「国家公務員共済組合負担金」等に分かれています。
3)     予算書での項目名が、決算書では違う項目名に変更されている。例:予算書での項目は森林づくり交付金が、決算書では森林整備・保全施設整備交付金と変更されています。その上、不思議なことがあります。京都議定書目標達成計画関係予算のとりまとめは、環境省がやっています。しかし、その予算がどのように執行されたかについての決算のとりまとめは環境省がやっていないのです。
「反省のない予算づくり」
第三に、「反省のない予算づくり」の実態を指摘し、改善を求めました。決算で、目標達成率が低い、つまり、効果が少ない、効果が弱いと分かった事業でも、翌年度も同様な予算がついています。効果がないものはスクラップして、効果があるものに予算をつけるという、スクラップアンドビルドがない。決算の結果を考慮した予算づくりをしていないのです。例えば、「高効率な省エネルギー機器の普及」対策(予算:120億円)の平成19(2007)年度の目標達成率(実際の効果/予想した効果)は20.0〜22.5パーセントに過ぎなかったのです。その上、予算の使い残しが16.7パーセントもありました。つまり予期していた効果がなく、予算の執行も順調におこなわれなかった。問題は、それにも関わらず、翌年度は108億円、その翌年度は100億円の予算が付けられているのです。過去6年間の8兆円以上をかけた様々な対策が取られたにも関わらず、これらの削減効果を明確に数量的に示さないばかりか、「決算が出来ない予算」とか「反省のない予算づくり」をしているのです。結果は温暖化ガス6パーセントの削減目標は達成できていないのです。それどころか2007年において、排出量は9パーセントも増えています。言い換えると設定した目標値より15パーセントも下がっているのです。大いなる失敗です。それなのに、麻生総理は、去る6月10日に「日本が目指す2020年の温室効果ガス削減の中期目標について、2005年比で15パーセント減を目指す」と発表しているのです。京都議定書のように1990年比を基準にすれば8パーセント減です。更に、その数字には外国からの排出枠や森林吸収分などが含まれていない「真水」の目標と説明されています。
そこで、過去6年間の温暖化ガス削減は達成されていないうえ、達成される見込みも明らかでない現状を踏まえると、「今まで出来ないのに、何故出来るか」と麻生総理に質問したところ、「いずれにしても、予算というものをより一層効率的また効果的に執行をしていき、京都議定書の目標達成に向けて更に一層取り組んでいかねばならぬと決意を新たにいたしております」と決意だけを述べられ、具体的な実現可能性の根拠については一切明らかにされませんでした。すごくがっかりしました。
さて、地球温暖化対策に関する質問の次ぎに、政府の予算は国民の生活支援に向かっていないことを指摘し、国民の生活を守り、元気づける予算作りへと政策転換を迫りました。
「超肥大化した政府予算」
第四に、政府の予算は超肥大化している。しかし、その政府の予算が国民生活を守るために使われていないと指摘しました。政府予算は莫大です。例えば平成18(2006)年度の場合、一般会計・特別会計の純合計は359兆円でGDPのなんと71パーセントにもなっています。補足的に申し上げますと、政府は、溜まり溜まった国債の元金{平成20(2008)年度末では総額680兆円。平成21(2009)年度末には725兆円に増加すると見込まれています}が返せずに、元金の借り換えをしています。その借換金額が、平成18(2006)年度の場合、108兆もあります。一般会計総予算(補正後で834,583億円)よりも大きいのです。この国債の元金借換を除いた一般会計・特別会計の純合計でもGDPの49パーセントに上ります。
このような巨大な予算をつかいながら、政府の国民の生活支援はどうなっているのでしょうか。財政が苦しいと言って、社会的弱者に対する温かみのある支援はどんどん削減されて行っています。「弱い立場の人たちのところに予算が行っていない」と強く指摘しました。最近では、15歳以下の子どもがいる母子家庭に支給してきた生活保護の母子加算さえも廃止しています。厚生労働省は、母子加算を4月に廃止したのです。この母子加算の廃止で政府が節約した金額はわずか120億円です。
日本は幸福度が世界で43番目という調査もあります。米政府が出資する研究組織「ワールド・バリューズ・サーベイ(世界の価値観調査)」によると、約100カ国・地域を対象に「幸福度調査」を実施したところ、市民が最も幸せを感じているのはデンマークです。日本は43位で、最下位はムガベ独裁政権が続くジンバブエと発表されています。)
幸福度が低い日本社会には、人間関係に関する様々な問題が蓄積されています。その一つが引きこもり(さまざまな要因によって社会的な参加の場面がせばまり、就労や就学などの自宅以外での生活の場が長期にわたって失われている状態)の増大です。引きこもりの子供を抱える家族の全国組織である、NPO法人全国引きこもりKHJ親の会(家族会連合会)によると、ひきこもりの人数は163万人です。その家族の方々を入れると500万人以上もの人が不安と心配の中での生活を余儀なくされているのです。こうした方々を救い、生活環境を向上させるために必要な支援に回る政府の資金が極めて少ないのです。「大切なところにお金が行っていない」と是正を求めました。 
自殺率は世界第8位で、先進諸国の中では第1位
自殺者数は、デフレが明確になった平成10年(1998年)に三万人の大台にのり、それからこれまでの11年間ずっと三万人を超えております。自殺率は世界第8位で、先進諸国の中では第1位という不名誉な事態になっています。由々しいのは、若い人の自殺が多いことです。「20代の死因の半分が自殺、30代でも死因の4割が自殺というのは悲しすぎる」と総理に訴えました。これからの日本を背負うべき若い人が自殺するというのは、若い人が夢・希望を持てない社会になっているからです。若者が「夢も希望もない、助けあいもないというような社会になってしまっている」と猛省を促しました。
若者が夢と希望を持ち大いに学び働く場を整えることが政府の仕事ですが、それがうまく機能していないのです。日本の高校生には夢と希望が少ないというデータがあります。ある有名な調査ですが、「21世紀に夢と希望がありますか」と世界中の高校生にアンケートをしたところ、中国の高校生の90パーセントは夢と希望があると回答。アメリカは65パーセントです。しかし、日本はわずか35パーセントとの結果がでています。
政府がやっている自殺対策事業そのものさえが適切であるとは思えません。例えば、本年度の補正で100億円が自殺対策事業に付いているのですが、その中に公園整備があります。野田聖子内閣府特命担当大臣に、公園整備が自殺対策事業の一部として取り入れられている不適切さを指摘したところ、「私自身も最初、公園整備に自殺対策のお金として項目挙がっていることについて同じような疑問を抱いた一人であります」と答えられました。そして「予防の一つとしてやはり心の健康を担保する場所の一つとして公園は必要であろうというところから引っ張ってきたものだと思うんですね」と、官僚が作った案を承認したことを素直に認められました。
野田大臣自身が公園整備はおかしいと思っても、結局、官僚の論理が通ってしまう。結局、変わらないのです。官僚支配、官僚政治の実態の1コマだと思います。今日の政府の下では、本当に有効な自殺防止対策にお金が回っていないのです。私は先々週、自殺対策の先進県と言われている秋田県を訪問し、中小企業経営者と家族の自殺防止と再起の手伝いを目的として活動をされているNPO法人蜘蛛の糸が行っている様々な相談事業を見させて頂きました。電話か面談で、とことんと困った時の話を聞いて、一緒に問題の解決に取り組んでくれるのです。「生きてさえいれば人生のリターンマッチができる」と主張されています。NPO法人蜘蛛の糸の活動は、中小企業経営者・多重債務者を自殺に追い込ませないためのカウンセリング業務に限定しています。その相談実績は406件で、面談回数は1800回以上(含県外200回以上)。電話相談数は面談の3倍以上です。(20093月末現在)
こうした、自殺に走る経済問題等の対策を親身に考えてあげたり、自殺を思いとどまらせるために懸命な活動をやっているNPO法人等への支援にもっと力を入れるべきです。更に、こうした優れた実績を有するNPO法人の経験を全国各地のNPO法人等に共有していただくための研修等にも支援をすべきです。公園整備に貴重な自殺対策の資金を流用すべきではありません。
「デフレで自殺者が増えている」
第5に、諸悪の根源デフレ(物価が持続的に下落する経済状況)退治に全力を出し切る必要があると、政策の大胆な切り替えを提案しました。デフレと密接な関係があるのが自殺者の増大です。日本経済は1994年からずっとデフレが続いています。GDPデフレーター(名目GDPを実質GDPで割ることにより得られる物価指数である。GDPデフレーターの変動が物価変動となり、変化率がプラスであればインフレーション、マイナスであればデフレーションとみることができる)を見ると、1997−98年に僅かにデフレーターがプラスに転じたように見えますが、それは消費税増税による物価値上がりによるものです。デフレが始まった1994年から自殺者が徐々に増え始め、1998年には3万2863人と前年よりも一挙に8472人も増えて、その後今日まで自殺者数は3万人台を続いているわけです。
「物価が持続的に下落すると、企業の利益が減り、賃金の下落や失業、ひいては消費の減退と企業活動の縮小を招く」と世界の政財界トップが愛読する英経済誌「エコノミスト・ロンドン」の元編集長で現在国際ジャーナリストとして活躍するビル・エモット氏が語っています。「諸悪の根源はデフレそのものだということを経済財政諮問会議もずっと言ってきたわけでありますが、デフレは収まっていない」のです。
あらゆる問題の解決に取り組むには、まず、状況の的確な理解が欠かせません。日銀にはこの初歩的な理解がないのです。決算委員会で日銀のデフレに対する見解を求めたところ、日銀総裁が海外出張中のため代理で出席した山口広秀副総裁は、私の質問に的確に答えませんでした。「現在、私どもにとって大切なことというのは、やはり物価下落が景気悪化をもたらす、それからその景気悪化が一段と物価下落をもたらす、そういう悪循環が生じているかどうか。よく言われるデフレスパイラルが生じているかどうか、そうした危険があるかどうかというところが大切なものだというふうに認識しております」と発言されました。デフレが長期化している大きな理由の一つは、日銀は、日本がデフレに陥っていることを認めないのです。日本経済がデフレであるとの認識がないから、そこからの脱却に必要な対策も取りません。
質問の数日前に日銀の国会担当者に日銀のデフレ認識を問いただしたところ「我々はデフレを宣伝する立場にありません」と答えるのです。正に、空いた口がふさがりませんでした。一方、内閣府はデフレと認めています。デフレ退治をしなきゃと言って財政支出をジャブジャブやっています。しかし、その効果は極めて限定的です。財政政策と金融政策の目標が違うので、相乗効果を発揮できないばかりか、各々の政策効果が他の政策効果を打ち消したり、弱めたりします。日本全体として、従って、十数年間もデフレに対して適切な対策が取れず、デフレ不況から脱却できていないのです。
日銀がデフレであると認識すれば、デフレを解決する処方箋を作り実行するのはある意味では明快です。インフレ目標政策導入やさらなる金融緩和(これまで以上に国債等を買い取り、インフレにならないレベルまで日銀券を市中に供給)をしていくことが考えられます。デフレが収まれば、日本経済は今後も成長が可能です。1994年からのデフレの時代は格差の拡大が広がった時代でもあります。
雇用の面でも問題が大きくなっています。パート・アルバイト・派遣・契約・嘱託といった非正規労働者の割合は、各年齢、男女で上昇しており、今日では労働者の三分の一が非正規労働者です。特に、男女とも1524歳の若者の非正規比率が急激に高まっています。働きたくても職場がない。職場があっても安い賃金。働いても、働いても年収が200万以下の、いわゆるワーキングプア(働いているのに年収が生活保護水準以下という人)は全国で1000万人前後がいると見られています。格差の是正、そのためには民主党が提案しているように大胆な政策転換が必要です。
国民の7割が社会に貢献したいと考えている
このデフレ下で国民は苦しんでいますが、そうした中でも日本人は他の方の役に立ちたい。そのために奉仕活動をやりたいと願い・実行している方が沢山いるのです。内閣府の調査では、国民の7割が社会に貢献したいと考えているのです。20代でも65パーセントの方々が貢献したいと答えています。実際に、青年海外協力隊の隊員として開発途上諸国で技術指導をされている日本の若者の評判は極めて高いです。彼らのやる気と技術が高い評価を受けているのです。シニア・ボランティアの評価も高いのです。国連で働いている日本人の評価も高い、特に女性の評価が高い。しかし、国連で働く日本人は分担金の比率が22パーセントに比べるその10分の1しかいないのです。青年海外協力隊やシニア・ボランティアの派遣者数を現在の2-5倍に増やせるように、国連でもっともっと日本人が働いて世界の平和と安定のために、開発途上諸国の開発のために輝く人材を送りだせるように、これまで以上に積極的に取り組んで参ります。
私は、決算委員会での質問の最後に「デフレをなくす、デフレ退治を政策の大きな目標にしなければなりません。デフレ退治へと政策転換を求めます」と麻生総理に訴えました。今日、政府は国民からの十分な信頼を得ていません。政府がやるべきことは、国民の生活を守るように「箱モノから人へ、若モノへ」の投資に政策転換をすることです。麻生総理にそのことを切に要望しました。しかし、麻生総理の答弁を拝聴しながら改めて思ったのは、政権交代をしないと実現出来ないということです。最後に、これから9月11日までに行われる総選挙こそが、今の自民党・与党の政治を総決算する選挙だと申し上げて、決算委員会での質問を終えました。
posted by 木俣佳丈 at 18:15| 東京 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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