2009年07月28日

アジア・アフリカの国会議員と連携して

7月8日(水)、アジア人口開発協会(理事長:前総理大臣福田康夫)が、外務省と国連人口基金の後援で開催した国際会議「人口・開発分野の政府開発援助実施における説明責任の向上に向けた国会議員能力構築プロジェクト」で講演しました。国連大学で開催された国際会議での私の講演のテーマは、「日本政府開発援助のリニューアルに向けて」で、私の講演のポイントは、次の三点です。
@       日本の政府開発援助(ODA)は国民の理解と支持がないために減少している。
A       しかし、国民が高い評価をしている事業を中心に、箱モノから顔の見える援助へと、更には国民参加型の援助へと切り替えることにより、ODAの援助量(贈与、円借款など)を大いに拡充できる。
B       更に、ODAの援助量を拡充することが、日本と開発途上諸国の相互にとって大きなメリットがある。
上記の会議の参加者は、アジア諸国(カンボジア、フィリピン、ベトナム、インド、タイ、日本)とアフリカ諸国(ケニヤ、ナミビア、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、タンザニア)の国会議員、外務省、世界銀行を含む国連機関、国際協力機構等の約50名です。
私は、講演の冒頭に、参議院政府開発援助等に関する特別委員会の理事として、参議院政府開発援助等に関する特別委員会の設置の経緯それに転換期を迎えた政府開発援助と委員会の役割、委員会が出した提言と決議等について概略を説明しました。
「ODAは我が国外交の基盤であり、外交の手段でもあります。我が国にとってODAは重要な財産です。しかし、財政状況が厳しい中でODAが着実に実施されるためには、国民の理解と支持が必要です。「参議院政府開発援助等に関する特別委員会では、国民の視点に立ちながら、効果的、効率的な援助が行われるよう評価も含めた調査を進め、ODAと国益や外交戦略との関係、戦略的な援助とODA実施体制の見直し、ODAの透明性の向上などの諸課題について各種の調査を行い、議論を深めている・・・」ベトナム向けODA(PCI事件)を巡っての汚職事件の発生後、同類のODA不祥事の再発を防ぐために、政府にODA停止の延長等を求めるとともに、参議院政府開発援助等に関する特別委員会で以下の申し合わせをおこなったことも説明しました。
「今回のPCI事件に類するODA不祥事が発生した場合、また、これに伴いODAの凍結・解除など重大なODA政策の決定・変更が行われる場合には、政府から速やかに当委員会に対し報告を行うことを求めるとともに、委員会を開催し審議を行うこととしたい。」 

国会議員がODAの要請・受け入れ・実施・評価において重要な関与をしていない
「人口・開発分野の政府開発援助実施における説明責任の向上に向けた国会議員能力構築プロジェクト」という長い名前の国際会議が開催された背景にあるのは、援助関係者の間で、開発途上諸国に於ける援助の透明性と効果を高めるには、国民の代表である国会議員の政府開発援助に対する理解を深めることが重要であるという認識が広がってきたことです。国会議員が、特に、政府開発援助の要請・受け入れ・実施・評価において積極的に、直接の関与をしなければ、せっかくの貴重な援助が受領国の国民の教育・医療・福祉等の向上に効率的・効果的に使われないという可能性が高まっています。先進国の国会議員が、厳しい経済・財政状況の下で、ODAを拡充させて行くには、国民の一層の理解と支持が必要です。納税者である国民に、自国が供与したODAが受領国の国民にとって具体的にどのような成果を挙げているのかを調べ、伝える義務があります。更には、その成果を、自国の国民と一緒になって評価し、より良いODA事業の立案・実施に向けて考えていく継続性も求められています。
日本は、1991年から2000年まで10年間、世界一の援助大国でした。しかし、1997年度をピークに縮減が続いており、2008年には、第5位に下落しています。第一位は米国、第二位はドイツ、第三位は英国、第四位はフランスです。内閣府世論調査2007によると、日本国民のODAについての理解は、「現在程度でよい」が    46・4%、「積極的に進めるべきだ」が24・8%です。合計70.8%の支持を得ています。しかし、「なるべく少なくすべきだ」が21.2%、「やめるべきだ」が2.8%と、合計24%の方が現行のODAの実施について否定的な意見を持っています。
こうした否定的な意見を持っている方に、その理由を問うたところ、「具体的にどのような経済協力が行われているか不透明だから」が45・5%、「日本の経済協力が開発途上国から評価されている事が感じられないから」が34.1%、「現在の経済協力には、現地の状況やニーズへの配慮不足などにより、必ずしも十分な成果を上げていない所が多いから」が29.6%を占めています。(備考 複数回答です)逆に言えば、現行のODAの供与方法・内容を改めて、国民の理解を得るように改善すれば、もっと大型のODAの供与が可能になるのです。 
国連機関がODA事業の丸投げ
援助の効率を考えると、最適な実施機関に資金を供与すべきだと考えます。私は、現行のODA事業仕訳の正当性に疑問をもっています。どのような基準で実施機関を選択しているのでしょうか。ある国際協力(援助)事業の最適実施機関の選定は、国連機関でやるのか日本の援助機関でやるのか、その選別、仕訳はどのように行っているか、更にはそれが最適な選別、仕訳であったとの報告もありません。ODA事業の仕訳を明確にする必要があります。この事業仕訳が不徹底なために、一つの問題があります。それは、国連機関に出資した政府の資金が先進国のNGOに丸投げ委託されている場合に起きます。国連機関がNGOにODA事業の丸投げをする際に、管理費(10−13%)を取っています。更に、その先進国のNGOが開発途上諸国のNGOに丸投げをする場合、その前者は20%の管理費を取っています。事業仕訳をきちんとし、更に事業の丸投げをしていることが明らかな場合、そうした国連機関への出資を取りやめて、最初から開発途上国のNGO等に補助金を出すべきです。そうした丸投げが複数年度にまたがっている場合があります。そういう場合、国連機関を通すメリットはどこにあるのでしょうか。政府が最初から当該NGOに委託した方が良いのではないでしょうか。
 ODAを拡充させるためのスクラップ&ビルド
国民がODAを必要・重要と強く認識できるようにリニューアルさせます。それは、一言で言えば、スクラップ&ビルドです。最初に、ODA事業のスクラップについて申し上げます。国民の目から見て、ダメな事業、効果がない・曖昧、評価の悪い事業を廃止します。特に、箱モノは、現地のレベルに合わせて供与すべきであり、日本仕様の高価すぎるもの、維持費が高いモノ等の供与はなくします。ODA事業のビルドとは、国民から見て良い事業を大いに伸ばそうとする考えです。大きく言って、顔の見える援助に力を入れるべきだと思います。箱モノから顔の見える援助へと切り替えるべきです。国境を越えた人と人との交流がお互いに良い刺激を与え、温かい交流・静かな発展につながります。
こうした分野の良い事業は、青年海外協力隊の派遣です。
青年海外協力隊の評判はとっても良いのです。平成18年度の市民アンケートによると、「青年海外協力隊の必要性」について、32%の方が「とっても」、56%が「ある程度」必要と答えています。「青年海外協力隊の途上諸国への貢献度」については、31%の方が「とっても」、55%が「ある程度」の貢献をしていると答えています。このように国民の理解を得ている事業を大幅に拡充することが国民の納得行くODAの拡充になるわけです。そのような理由で、私は顔の見える援助の代表である青年海外協力隊の派遣人数を拡充するように長年にわたって運動してきましたが、その効果が本年度になって出てきております。青年海外協力隊の派遣人数が20%増しになりました。ようやく我が意を得たりととっても喜んでいます。今後、もっと力を入れて、青年海外協力隊の派遣者数を10年ほどの間に現行の5―10倍に拡充させたいと思っています。
青年海外協力隊同様に開発途上諸国から喜ばれているのが、草の根・人間の安全保障無償資金協力(以下、「草の根無償))です。開発途上国の多様なニーズに応えるために1989年に導入された制度です。 草の根無償は、開発途上国の地方公共団体、教育・医療機関、並びに途上国において活動している国際及びローカルNGO(非政府団体)等が現地において実施する比較的小規模なプロジェクト(原則1,000万円以下の案件)に対し、当該国の諸事情に精通しているわが国の在外公館が中心となって資金協力を行うものです。開発途上国の草の根レベルに直接裨益するきめ細かい「顔の見える援助」であり、また、機動的な対応が可能な「足の速い援助」であるという特徴を有しています。
青年海外協力隊や、草の根無償を中心に、日本の市民団体・グループ、NGO等が開発途上諸国の地域市民等と連携して企画・実施している国際協力活動を積極的に支援して行きます。国際協力活動を通じて、先進諸国の市民と開発途上諸国の市民間の交流を強化させることを確立させたいと考えています。10年かけて、ODA予算の20パーセント程度を市民団体・グループ、NGO等が開発途上諸国の地域市民等の国際協力活動の支援に割り当てることも考えて良いと思います。
私がもう一つ強力に推進していきたいのは、受領国にとってこれまで以上に感謝される喜ばれる援助をすることです。その一つが、国際病院船(戦争や飢餓、大災害の現場で、傷病者に医療ケアのプライマリケアを提供したり、病院の役割を果たすために使われる船舶)による大災害時の緊急医療援助です。国際病院船による医療協力は迅速で、しかも目に見える効果があります。それに、紛争時と平和時の両方に使えます。
日本も、かっては、援助の受領国でした。例えば、東海道新幹線や東名高速道路そして黒四ダムに愛知用水は、世界銀行の低金利の融資を受けて建設しました。戦後間もない1953年から導入されはじめた世界銀行(国際復興開発銀行)からの低金利の融資は合計86,000万ドル(当時の日本円では3,200億円、現在の額に換算すれば約6兆円)に達しました。日本が、世銀に借金の返済を完了したのは、1990年7月のことです。日本の戦後復興は国際社会かの寛大な援助により支援されています。援助により整備されたインフラ等を利用して、極めて短い期間で先進国の経済レベルに達することが出来ました。日本は、援助を貰う一方で、1954年には経済協力(技術協力)を開始しています。ビルマ(現ミャンマー)と結んだ「日本・ビルマ平和条約及び賠償・経済協力協定」を皮切りに、アジア諸国に対する経済協力を始め、その後、世界第一の援助大国になりました。今日では、アジア諸国の経済発展には日本の援助が大きく寄与しているのは世界の常識です。近隣諸国が富んで繁栄することは日本にとっても素晴らしい良いことです。
今回の講演を通じて、アジア・アフリカの国会議員の仲間と交流が出来ました。援助の供与国と受領国との違いがありますが、共通するのは、代表している国民のために、国民の見方で援助の流れ・中身等を真剣に考え、熱心に動いていることです。彼らと連携して、日本の援助が一層効率的に企画・実施され、開発途上諸国の発展に大きなインパクトが与えられるように、双方の国民の理解・納得いく形で推進して行きたいと考えます。日本の市民団体・グループ、NGO、地方公共団体で国際協力を推進されている方々とも一層緊密な協力関係を築いて参りたいと存じます。何時でも気軽に連絡をお願いします。
posted by 木俣佳丈 at 18:25| 東京 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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