12月25日(火)クリスマスの日、
午前10時から開催された参議院文部科学委員会で、渡海紀三朗文部科学大臣にヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)について質問しました。iPS細胞とは、さまざまな臓器・
組織の細胞に成長する能力を秘めた「万能細胞」のことです実は、
11月21日に、
京都大学の山中伸弥教授(物質−
細胞統合システム拠点/再生医科学研究所)
らの研究チームが、人間の皮膚細胞から「万能細胞」を作ることに成功したとの発表を聞き、
この日本発の素晴らしい成果を更に発展させ、再生医療(損傷を受けた生体機能を幹細胞などを用いて復元させる医療)
が早期に実現できるように日本が総力を挙げて応援する体制を作らなければならないと思っていました。
再生医療が出来るようになると、臓器移植とは異なり、ドナー(臓器提供者)不足などを克服でき、従来法では治療困難である疾患・
障害に対応可能になります。私も国会議員として、
夢のある再生医療の実現を促進するために出来るだけの応援をしようと思っていました。従って、
質問をしたと云うよりは、
政府のiPS細胞研究への支援をもっともっと拡充するようにとの叱咤激励の意味合いが強かったと思います。
「iPS細胞の樹立は、
私が議員になってから最大の発明ではないかと思っております。そしてこれが日本人の手で発明されたというのは、すごいことだ」
と渡海大臣に申し上げました。私は、福田総理が京都大学の山中伸弥教授に会って、
「よし、 iPS細胞の今後の研究は国を挙げてオールジャパンで頑張ろうじゃないか」
というべき世紀の大発明であるとも申し上げました。
現に、「羊のドリー」
のクローンの作成で世界的に有名な科学者、アラン・コールマン博士は、「肺性幹細胞からクローンを作るということではなくて、
人間の皮膚からこれが出来るならば、私はもう研究を止める」と11月17日に発表しています。米国のブッシュ大統領は、
11月20日、
ホワイトハウスの大統領報道官を通じて、
山中教授の受精卵を使用しないiPS細胞の樹立に対して「倫理にそった研究の前進を非常に喜んでいる」
とのコメントを発表されました。さらに、米政府としてiPS細胞の研究を支援することを約束されました。
ローマ法王庁の生命科学アカデミー所長は
「人(受精卵)を殺さず、たくさんの病気を治すことにつながる重要な発見だ」と称賛しています。
政府は、
12月24日、2008年度予算政府案を閣議決定しました。
その中で「細胞移植・細胞治療等によってこれまでの医療を根本的に変革する可能性を有する再生医療について、
iPS細胞等を用いた革新的な幹細胞操作技術や治療技術等を世界に先駆け確立し、
その実用化を目指す」再生医療の実現化プロジェクトとして20億円を認めました。その大きな予算案が認められたこと自体は、
iPS細胞の研究を夢中になってやられてきた山中チームの成果が認められたことであり、
その研究を加速させようとする渡海大臣を始めとする文部科学省の皆さんの熱意によるものだと思います。
要求の満額を取ったということで、お目出度いと云えば、お目出度いと思います。でも、
私はそれだけでは満足してはいけないと思っています。再生医学の国際的な拠点である米国のハーバード大学や米国の医療調査機関である国立保健研究所
(NIH)等は、世界各国から集まった優秀な研究者が日本に比べて圧倒的な研究費を使って、スピード感のある研究をしている。
従って、我が日本の研究者が、世紀の大発明となったiPS細胞の樹立に成功しましたが、
今後オールジャパンで戦っても一人勝ちが出来ないだろうと予測されます。冷静に見て、
互角にまで持って行ければ素晴らしいことだと考えています。この世紀の大発明を互角の立場まで持っていけるようにするために、
国を挙げてもっともっと大きな応援をしなければなりません。iPS細胞の研究に従事している研究者同士のネットワークの確立・
運営への支援、iPS細胞利用技術に関する特許の取得が早急に出来るようにするための支援、
海外特許の確保への支援等について、担当省庁である文部科学省だけでなく政府全体として取り組むように強く要請しました。
特に、 ここ1−2年の支援の質と量とスピードが勝負であると強調しました。答弁にたった渡海紀三朗文部科学大臣は、
国主導でiPS細胞研究等の加速に向けた総合戦略を企画・
実施するために(内閣総理大臣、
科学技術政策担当大臣のリーダーシップの下、各省より一段高い立場から、総合的・
基本的な科学技術政策の企画立案及び総合調整を行うことを目的とした)
総合科学技術会議と緊密な連携を取ったオールジャパンの体制を作り上げていくと明確に決意を表明してくれました。
渡海大臣の意欲的な姿勢を高く評価しながらも、
米国の先端医療調査にかける資金量の大きさが日本の100倍以上であり、
日本政府が研究資金を加速度的に増額していく必要があります。更に、
米国等で研究に従事している世界一流の日本人学者が日本での研究に合流できないとすれば、iPS細胞の今後の研究は米国に立ち遅れてしまうことになる恐れが高いと思います。
私のそうした不安を率直に申しましたら、渡海大臣は、
国内のiPS細胞研究拠点間のスムーズな交流支援、
iBS利用技術に関する特許の取得支援等に関しても、
積極的に取り組んでいくので、今後も「背中をどんどん叩いて」応援してもらいたいと与野党を超えた国会の支援を要望されました。
私の持ち時間で(45分)
の最後に、世界各国で活躍している日本人科学者を日本に呼び戻す(招聘する)ことが早期に実現しないと、日本がiPS細胞を利用した再生医療の臨床化にトップに立つことが出来ない。
だから、最先端の研究に従事している日本の英知が日本で研究に従事したくなるような制度・
環境づくりに真剣に取り組んで貰いたいと要請しました。私が渡海大臣に文部科学委員会で質問をした日に、
京都市で開催されたiPS細胞の研究者ら約1000人が参加するシンポジウムで、
京都大の山中伸弥教授と慶応大の岡野栄之教授のチームが、iPS細胞を使った、
サルを対象とする治療技術の開発実験に着手すること、それに、脊髄(せきずい)損傷の患者に生かせる治療技術を、
2年後をめどに確立したいと発表されました。
今後の展開を大いに期待して見守りたいと思います。
posted by 木俣佳丈 at 13:44| 東京

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